「最近、体調がよくない」
「室内のピアノを移動しようとしたら腰を痛めた」
「不正出血が続いている」
「よく耳鳴りがする」
「何をするにも、気持ちが沈んでやる気が起きない‥‥‥」
心身に不調を感じると、病院など医療機関を受診することを考えるひとが多いのではないでしょうか。勇気を振り絞って病院を受診した結果、検査のために違う病院を紹介されたり、治療や手術のために、また違う病院に紹介されたり‥‥。
「 ちゃんと、、治るのかな‥‥ 」
不安が募りますよね。
本当は自分のからだに向き合い、最善の・最先端の治療を都市部にある、有名な病院で治療を受けたい。素直にそう思いたいところですが。
それと同時に向き合わなければならないのは‥‥
お金のことでしょうか。
1、「入院時の医療費」
2、「治療中の生活費」
自身の経験から、2つの項目に分けて向き合っていきたいと思います。
病気や怪我が原因で、ほとんどの方が頭を悩ませる「お金への不安」を、
どこよりも、わかりやすく説明します。
高額な医療費を、70%安くする方法
ここで、ひとつ質問です。
あなたなら、どちらを選びますか?
1、病院の会計窓口に、本当に支払わなければならない金額だけを支払う。
2、病院の会計窓口から請求された通り、高額な医療費を一度病院に全額支払う。後日、多く払いすぎた医療費の請求手続きをするため医療保険の保険者へ申請する。
入院が決定したら、「限度額適用認定証」の発行手続きを!
結論からお話しします。
自身の体調不良に気づき、病院を受診した結果、「入院」が決定したら、できるだけ早めに限度額適用認定証を発行する手続きをとりましょう。
この手続きをしっかり行うことで、不要な自己負担金を病院窓口に支払う必要がなくなります。
限度額適用認定証って?
限度額適用認定証は、あなたの医療費の自己負担限度額を示す証明書です。
入院が決まったら、また突然のケガや病気が原因で入院となった場合に交付の申請を行い、医療機関等の窓口に提示することにより、1か月の医療費の請求額が自己負担限度額までとなります。
この手続きが遅れると、かかった医療費の一般的な自己負担割合分(通常70歳未満の人で3割)が病院の窓口から請求されます。
なぜなら、医療機関等で医療費の請求額を計算する職員さんは、あなたの収入のことが分からないので一般的な計算式で、一般的に請求するしかないのです。
病院の入院会計係の方にすれば、
「病院は一般的に計算をしておくので、お金を返してほしければ、あとは自分で手続してくださいね」というスタンスです。
決してイジワルではありません。
高額療養費って?
病気やケガなどで病院などで医療機関にかかった場合、病院の会計窓口に自己負担割合分を支払います。70歳未満のひとだと、かかった医療費の3割を請求され、病院の会計窓口に医療費として支払いますよね。
これが、入院や高額な検査、手術‥‥となった場合、医療機関等の窓口での支払いは高額となります。
そこで、後日申請することで医療費の自己負担額を超えた額が払い戻される健康保険には「高額療養費」という制度が、健康保険には用意されています。
70歳未満の人の限度額は、所得に応じて5段階に分類されています。
次の表を見ていただくと、おおよそ自分の1か月の医療費の自己負担限度額がお分かりになると思います。
所得区分 | 1月当たりの自己負担限度額 | 多数該当 | |
① | 年収約1,160万円を超える人 健保:標準報酬月額83万円以上 国保:年間所得901万円超の人 | 252,600円 +(医療費-842,000)×1% | 140,100円 |
② | 年収約770~約1,160万円 健保:標準報酬月53~83万円未満 国保:年間所得600~901万円以下 | 167,400円 +(医療費-558,000円)×1% | 93,000円 |
③ | 年収約370~約770万円 健保:標準報酬月額28万円以下 国保:年間所得210万円以下 | 80,100円 +(医療費-267,000円)×1% | 44,400円 |
④ | ~年収370万円 健保:標準報酬月額28万円以下 国保:年間所得210万円以下 | 57600円 | 44,400円 |
⑤ | 住民税非課税の人 | 35,400円 | 24,600円 |
あとから払い戻されるとはいえ、一時的な支払いは大きな負担となるものです。
また、高額療養費制度による医療費の払い戻しは、ほとんどの場合自分で払い戻しの申請を行わなければならず、制度そのものを理解していなければ自分が制度の対象であることも知らずに払い戻しを受けることなく、そのまま放置され、数年後に気づいたときには‥‥ということも、実は少なくありません。
さきほど、入院会計係の方が言っていた
「 お金を返してほしければ‥‥ 」というのが、このことですね。
大腸がんと診断されたAさん(40歳男性)の実際の医療費を具体的に解説!
それでは、あなた自身、または身近な人で考えてみてください。
ケースを通して考えることで、さらに理解が深まるのではないでしょうか。
Aさん(40歳・男性)、中小企業の会社勤め。年収400万円程度。
(エピソード)
1週間以上の腹痛が続き、意を決して近隣の○○クリニックを受診。
数回の検査の結果、「大腸がんの可能性が高い」と診断されたため、専門のB病院を紹介された。
紹介されたB病院に10月2日に入院。
数回の検査を経て、10月10日に手術。
手術の後は放射線治療を行い、10月28日に自宅退院となった。
さて、Aさんの医療費は、いくらになるでしょうか??
①、B病院の入院~退院まで約30日間の医療費の総額は100万円かかったと仮定。
②、年収370万円~770万円の人の限度額の計算式は次の通り。
80,100円+(医療費の総額1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円
③、上記2の計算式で導き出された 87,430円 ← 自己負担限度額
覚えてほしいのは、入院=限度額適用認定証を提出するということ
1、入院時に限度額適用認定証を病院窓口に提出し、本当に支払わなければならない金額だけを支払う。
病院からの医療費としての請求額は、87,430円
2、入院時に限度額適用認定証を病院窓口に提出せず、いったん高額な医療費を病院窓口に全額支払う。後日、高額療養費の請求手続きを医療保険の保険者へ申請する。
病院からの医療費としての請求額は、300,000円
(高額療養費として請求申請すると、3~4か月後に約210,000円が戻ってくる)
まとめ;入院が決まったら、限度額適用認定証の申請をしましょう
同じことを繰り返し伝えているようですが、もう一度まとめます。
☆医療費が高額になりそうなとき、あらかじめ発行手続きを行い医療機関に提出することで、本当の自己負担限度額を請求してもらうのが「限度額適用認定証」
★医療費が高額となったとき、高額だが一度支払い後日自ら請求手続きを行うことで約4か月後にお金が戻ってくるのが「高額療養費制度」
治療中はいつも通りに働けないから、収入は減る
白内障のような「日帰り手術」など、入院が数日で済めばいいのですが、がんや脳梗塞、COPDや糖尿病を代表とする慢性疾患となると、入院期間も数週間から数か月単位と治療期間も延長化してきます。そうなってくると、家計の経済的な悩みもより深刻化してきますよね‥‥。
入院にかかる医療費(支出が増え)だけではなく、入院中の働くことができず得られない収入(収入減)に向き合わなければなりません。
会社勤めの人なら、年次休暇や傷病手当金等使える制度は多少ありますが、それにも限界があります。
国民健康保険に加入している方や自営業の場合、入院中は働けず、利用できる制度もないため完全に無収入に‥‥
多くの病院には、医療相談室や地域連携室、入退院支援室が用意されていますので、心配な場合は一度相談してみましょう。
無料で相談できますよ。
また、自分で申請することが難しい場合は、一緒に申請書を作成してくれたり、手続きを代行してもらえる場合があります。