12月6日、中央社会保険医療協議会(439回)が開催されました。
地域包括ケア病棟、病床は診療報酬上の点数が高く設置されているため、届出施設・病床数は増加傾向にあります。
これから地域包括ケア病棟、病室を届出を考える経営者のみなさんは、
「地域包括ケア病棟新設から現在の問題点」に着目し、今後の展開を検討する必要があります。
「地域包括ケア病棟を開設したいが、過剰地域のため許可されない」
そんな嘆きが現実となる日も、そう遠くないでしょう。
さて、今回のポイントは次の3つです。
病床数200床以上の医療機関、自院からの転棟割合に一定の制限を
平成30年度入院医療等の調査によると、地域包括ケア病棟・病室を届け出ている医療機関に利用に係る趣旨(地域包括ケア病棟を利用する目的)のヒアリングの結果、次の順に回答があった。
・63.8%「自院の急性期からの転棟先として利用している」
・12.5%「在宅医療の後方支援、急変時等の入院先として利用」
・10.6%「他院の急性期病棟からの転院先として利用」
また、許可病床数別に入棟元の割合を見ると、許可病床数が大きいほど、「自院の一般病床(地域一般、地ケア、回リハ以外)」」の割合が多く、「他院の一般病床」の割合が少ない。
さらに、入棟前の場所が「自院又は他院の一般病床」の患者が、入院患者に占める割合の分布をみると、100%の施設が最も多く、次いで多いのは0%であった。
病床数の多い医療機関ほど、急性期一般病床から自院の地域包括ケア病床に患者が流れ、本来の地域包括ケアシステムの一環を担う役割を果たしていない。
簡単に言えば、「患者を抱え込むのはダメですよ」というメッセージですね。
自院からの転棟割合に一定の制限を設け、地域での医療機能を適切化へ!
400床以上の病院が地域医療構想調整会議で協議を
現行の施設基準では、400床以上の医療機関が地域包括ケア病棟を設置する場合、1病棟のみ許可されます。前の章でもふれましたが、地域包括ケア病棟入棟前の割合を見ると、許可病床数が大きいほど「自院の一般病床(地域一般、地ケア、回リハ以外)」の割合が多く、「退院の一般病床」の割合が少ないとのデータが出ています。
一方で、地域包括ケアシステムをさらに推進するため、機能分化を進めていかなければなりません。
400床以上の病院が地域包括ケア病棟を設置する場合、1病棟のみ開設許可とする要件は継続するが、
新たな要件に、
「地域医療構想調整会議に意見を求めること」が、
加えられる可能性があります。
「地域包括ケア病棟を開設したいが、過剰地域のため許可されない」
現実味を帯びてきています。
DPC病棟からの転棟は、DPC点数算定を継続に
次に、DPC対象病棟から地域包括ケア病棟・病室への転棟について、DPCにおける診断群分類点数の算定を継続してはどうかとの意見です。
DPCとは、診断群分類区分により一日の診療報酬点数が決定される仕組みです。
入院初期を重点評価するため、在院日数に応じた3段階の定額報酬が設定されています。簡単に言えば、入院初期は報酬が高く、日を追うごとに報酬額は減るということです。
平成30年度DPCデータによると、DPC診断群分類区分によっては、患者がDPC対象病棟から地域包括ケア病棟に転棟する時期が、診断群分類区分における点数が地域包括ケア病棟入院料の点数を下回るタイミングに偏っている場合がありました。
つまり、DPC対象病院では、入院初期をDPC対象病棟で対応し、報酬が下がるタイミングで地域包括ケア病棟に転棟させているということです。
DPC/PDPSの対象病棟において当該点数を算定するのは、DPC対象病院全体の平均的な在院日数である入院期間Ⅱまでの期間となる予想。
病院側が算定する報酬の都合で、患者を移動させているのは問題だとの意見です。
地域包括ケア病棟の3つの役割とは
地域包括ケア病棟の役割として挙げられている3つを役割と、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料1、3における実績要件について、復習しておきましょう。
1、急性期治療を経過した患者の受け入れ
→重症患者割合
2、在宅で療養を行っている患者等の受け入れ
→自宅等からの入院患者の受け入れ
→自宅等からの緊急患者の受け入れ
→在宅医療の提供
→見取りに対する指針の策定
3、在宅復帰支援
→在宅復帰に係る職員の配置
→在宅復帰率(入院料1、2のみ)
